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福岡高等裁判所 平成8年(行コ)2号 判決 1997年1月20日

熊本県天草郡松島町大字阿村四一三〇番地の八

控訴人

福山海運有限会社

右代表者代表取締役

福山重貴

右訴訟代理人弁護士

松本津紀雄

奥村惠一郎

熊本県本渡市古河町四-二

被控訴人

天草税務署長 大小田耕二

右訴訟代理人弁護士

坂本仁郎

右指定代理人

畑中豊彦

高野潔

橋本洋一

竹本龍一

池田和孝

河口洋範

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  控訴の趣旨

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が平成二年一二月二五日付けでした控訴人の平成元年三月一日から平成二年二月二八日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。

3  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  控訴の趣旨に対する答弁

主文と同旨

第二事案の概要

事案の概要は、原判決の「事実及び理由」の「第二 事案の概要」のとおりであるから、これを引用する(但し、原判決五枚目表九行目の「年数」の後に「、簿価」を加える。)。

第三争点に対する判断

争点に対する判断は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決の「事実及び理由」のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決五枚目裏五行目ほか二か所の「納富慎吉」を「納富愼吉」と改め、同六行目の「結果」の後に「、並びに弁論の全趣旨」を加え、同六枚目表八行目及び同裏初行の各「平方」を「立方」と改める。

2  同八枚目裏末行の「いないこと」の後に、次のとおり加える。

「、後記二1で認定するとおり、日伸運油の本件船舶買受けについての経理処理並びに本件船舶本体及び建造引当権の各転売価格は、当時の相場によるものであり、船舶本体に比べてはるかに高額の価値を有する建造引当権が無償で譲渡されたとは、容易に信じがたいこと、」

3  同九枚目裏三行目の後に、改行して次のとおり加える。

「なお、甲第二号証によれば、九州海運局長は、平成二年一一月一九日、控訴人の申請に基づき、本件売買が改正前の租税特別措置法施行令三九条の七第一五項三号に該当する旨の認定をしたことが認められるが、右九州海運局長の認定は、控訴人が申請書に記載した本件船舶の対価の額が正当であることまで認定したものではないから、右事実によって前記判断を左右することはできない。」

4  同九枚目裏九行目の「第六号証の一、二、」の後に「第八号証、」を加え、同一〇枚目裏三行目の「属していたこと」を「属し、簿価は三四五一万二一八七円であったこと」を改め、同一一枚目表五行目の「第一六号証」の後に「の一、二」を加え、同一二枚目表三行目の「老齢船」を「油送船」と改める。

5  同一二枚目表末行の後に、改行して次のとおり加える。

「なお、甲第三八号証によれば、控訴人は、昭和六三年六月二九日、東京海上火災保険株式会社との間に、本件船舶につき保険金額を合計二億円(内訳船舶保険一億六〇〇〇万円、船費保険四〇〇〇万円)とする保険契約を締結していたことが認められるが、乙第八号証によれば、船舶保険金額は、複成船価、簿価、残存債務額、市場価格等を総合勘案して決定されるものであると認められること並びに前記の説示に照らすと、前記保険金額が二億円であったとの事実をもって、前記判断を覆すことはできない。

また、甲第三五号証、当審証人福山幸夫の証言によれば、控訴人は、本件売買前の昭和六三年一一月ころ、税理士を通じて、海運業者が多数集まり、船舶の取引事例も多い下関税務署法人課に対し、本件売買のような場合に本件船舶本体のみを売買したことにして売主も買主も船舶としてのみ資産に計上したとすると税法上どうなるかと尋ねたところ、最終的な回答は得られなかったことが認められるが、右事実によって、本件各処分の適法性が否定されることがないのはいうまでもないし、当審における控訴人の全立証によっても、前記の判断を覆すには至らないというべきである。」

第四結論

よって、控訴人の本件請求を棄却した原判決は正当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 稲田輝明 裁判官 田中哲郎 裁判官 永松健幹)

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